ベースラインの変更は他への影響大

Web制作プロジェクト完遂には、詳細見積の完成度をあげていくことも大事ですが、それとともに発注者との間で取り交わされた基準いわゆるベースラインがきちんと決められているかどうかも重要となります。詳細見積は通常要件定義で確定した内容に基づき、忠実に反映していく積み上げ方式がベースとなりますが、往々にして当初の予定になかった追加や変更といった予期せぬ要求は、単にコストばかりか成果物スコープやプロジェクトスコープへの変更も伴うため、ベースラインは妥当性判断という面からも数値化・定量化が効果的で、これは整合性監視の容易性にもつながっていきます。最悪ベースラインの修正もやむなしと思われた場合でも、安易な妥協は他のタスクへの影響も少なくないという認識だけは持っておく必要があります。

代表的なコストコントロール技法EVM

Web制作プロジェクトにおけるコストに関して、プロジェクトマネジメントの指針ともなるPMBOKで二つのプロセスが定義されています。一つが発注者との間で合意された予算内で収められているかどうか監視するコストマネジメントと、もう一つが予算の変更をきたすような事案が発生した場合の妥当性判断などを行うコストコントロール。コストコントロールはその判断がむずかしいためいろいろな技法が発案されています。なかでも代表的と言われるのがEVM(Earned Value Management)と呼ばれるもの。縦軸の価値、横軸に時間をとったグラフで、時系列で実コストAC(Actual Cost)や出来高EV(Earned Value)に対して、計画値PV(Planned Value)を目視化することで監視の容易性という点で有効性があると言われているものです。

曖昧さ排除が詳細見積の基本

曖昧さ排除が詳細見積の基本

Web制作における詳細見積作成は単に要件定義で記載された内容をもとに忠実に積み上げていくという制作者側で完了させるものではなく、その金額・内容について発注者との合意を得るための裏付け資料ともなってきます。そのため必要となるのがベースラインと呼ばれる成果物スコープやプロジェクトスコープやコスト。これらの合意のうえに作成されて初めて意味ある詳細見積となります。そのため詳細見積の妥当性判断を早期に行うため両者で合意された提出日厳守が求められます。さらに作成にあたって重要となるのが、曖昧さを極力排除して進めること。そのため疑義が生じた場合は速やかに内部で再検討したうえ、必要に応じ発注者への確認も必要となる場合もあります。それでも解消しないときは、不確定要素を吸収できる枠を設けるなど工夫が必要となってきます。

詳細見積にあいまいさは厳禁

Web制作プロジェクトにおける詳細見積作成で留意する点をいくつか挙げてみたいと思います。一つが、詳細見積がもつ二面性(テクニカルな面とビジネス面)にあわせた対応が必要ということ。そのために関わる人も実務担当者からプロマネまで多岐にわたり、その人選と記録明記が求められます。また提出先(発注者と内部関係者)にあわせた使い分けも必要でしょう。さらに内容に変更が生じた場合の情報共有徹底。お金に関わることなので細心の注意が求められますが、最も気を付けるべきことは「あいまいさ」の徹底的な排除。これをないがしろにしたがため、最終段階でプロジェクトの成否にかかわる事態とも成りかねないという可能性を秘めているということを忘れてはいけません。