Web制作などのプロジェクトマネージャにとっての作品とはなんなのか、という問いをよく耳にします。WebデザイナーにとってWeb画面が作品のすべてであるということはすぐわかりますが、プロマネにとっては、プロジェクトの総括が作品と言えるのかもしれません。メーカーでいうところの中間管理職とでも位置づけられそうなプロマネは、実務担当者と上層部との橋渡役であり、作品はこれですと具体的見せられるものは少なく、どちらかと表面化しづらい完了したプロジェクトすべて、ということになります。ということはプロマネに求められるのは、目に見えない組織の質ともなる、人を育てる、会社を育てる、クライアントの輪を広げる、といった成果が重要なのであって、そこにやりがいを見いだせるかどうかで方向性は決まってきてしまうものかもしれません。
詳細見積は積上げてもベースに収まること
Web制作も要件定義が終わると、いよいよその内容を反映させた詳細見積作成へと進んでいきます。すでに発注者から示された予算に対しての概算見積もりは提示されているのが一般的と考えると、この詳細見積は要件定義に従ったコスト積み上げでも概算見積もりをオーバーしないよう調整が求められます。そこで詳細見積作成に際し、その考え方の基本となる要素が、成果物スコープ、プロジェクトスコープ、そしてベースラインの三つと言われています。最初の二つは範囲と訳されるスコープを確定していくことであり、残るベースラインは基準を決めていくこと。見積もすでに概算見積もりが存在する以上、詳細見積で得られた数値から如何にして発注者の予算と合意された概算見積もりを超えないように、成果物やプロジェクトのスコープを詳細に調整していくかが本来の目的と言ってもいいのかもしれません。
詳細見積は何をどう作っていくかで決まる
Web制作依頼に対して作成される詳細見積。すでにこの段階では提案依頼を受けて作成された提案書で概算見積が示されています。詳細見積では、要件定義で掘り下げたスコープ(範囲)の吟味が行われ、その検討結果を反映させたものという位置付けとなります。スコープの吟味では、2種類の見直しが行われます。その一つが何をどこまで作るかという成果物スコープであり、もう一つがどのように作っていくかというプロジェクトスコープ。成果物スコープでは、盛り込む機能や画面をはじめとするデザインとそのボリューム、さらに目安となる総ページなどが挙げられます。一方のプロジェクトスコープではどのくらいの陣容で何日間ぐらいを要するかなどが決まっていきます。これらを勘案したうえで、さらに企業としても戦略的な要素も加味し、発注先には提示されることとなります。